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奄美の地における健康経営メソッドの可能性について

2023.06.10 コラム

奄美大島について

奄美大島は、鹿児島と沖縄本島のほぼ中間に位置する島です。
日本の離島の中では佐渡島に次ぐ2番目の大きさを誇ります。「東洋のガラパゴス」と呼ばれる島の大部分は豊かな森が茂り、エメラルドグリーンの海と美しいサンゴ礁に囲まれ、絶滅危惧種を含む多くの動植物が生息するなど、まさに生物の多様性を体現しています。
また、自然だけでなく島唄や八月踊り、神事を含む伝統行事、大島紬や黒糖焼酎などの伝統産業を育んできた文化は顕著な普遍的な価値が認められ、世界自然遺産に登録されるに至りました。

伝統文化の保護

そんな奄美大島の産業の中でも世界三大織物に数えられる大島紬は奄美の人々にとって特別な存在です。
第二次世界大戦後は生産がストップしてしまったものの、その後大島紬ブームが巻き起こり、大島紬は島の産業を支える花形の仕事になりました。私の祖母も織工として自宅兼工場で機織りをしており、幼い頃に遊びにいくと織機が奏でるテンポよい音に妙な落ち着きを感じたことを思い出します。
大島紬は、島の生活の中に溶け込んでいて、以前は娘が嫁に行くときには母が紬を織って持たせたり、嫁入りの結納返しとして、未来の旦那様に男性用の紬を贈る文化もありました。さらに、丈夫で100年近く着ることができるので親から子へ、大島紬が引き継がれている家庭も多く、単なる着物としての価値を超え、人と人の縁をつなぐ象徴でもあったのです。
このように島の中心産業として、人と人の縁をつなぐ象徴として紡がれてきたバトンは後世にも残していく必要があります。

伝統文化の課題

しかし、大島紬をはじめとした奄美大島の伝統産業には課題があります。

担い手不足

1つ目は「担い手不足」。
大島紬の特徴は、美しい図柄、深い艶、しなやかな肌ざわり、軽やかな着心地で、それらは手作業による熟練の技が必要不可欠です。
さらに職人の高齢化も進んでいることが影響し、生産量は全盛期の1%にまで落ち込んでいます。
高齢化により身体の機能が低下してくると、これまで我慢できていた身体への負担は大きくなり、やがては大島紬最大の魅力である高い品質の低下につながってしまうかもしれません。
作業療法士として病院で働いていた私も「もうこの身体では仕事には戻れない」と語る職人さんを多く知っています。
さらにすべてが手作業で行われる大島紬ならではの作業環境を考えると、長時間に渡る同一姿勢や膨大に繰り返される作業の反復は職人の身体に影響を与えないと考える方が難しいかもしれません。このように緻密な技術と深いこだわりがあるからこそ、職人の身体や心の状態は非常に大切なのです。
そこで身体の動きや痛みの専門家が関わることにより、職業病に共に立ち向かうことで、職人さんの健康だけでなく大島紬という伝統文化を守り、さらに未来の担い手に魅力をアピールすることに貢献できます。

職人の待遇

先述したように大島紬の職人には熟練の技が求められます。
そんな高い技能を習得しているにも関わらずそれだけでは食べていけないというお話を聞くことがあります。
大島紬は工程が多く手間のかかる作業ですが、その手間があるからこそ良い品質のものができあがります。なので、手間を簡略化しようとしたり工程を変えようとするのではなく、作業における身体の負荷を軽減することで、作業の効率がよくなりパフォーマンスの向上を期待できます。
そうすることで生産性と収益性が高まるので、職人さんの待遇もよくなることに繋がると考えます。

まとめ

現代社会は利便性が増し、ひたすらに効率化が求められています。それ自体は否定すべきことではありませんが、私たちは便利さのみを求めていて良いのでしょうか?
朝夕に浜辺で海を眺めるひととき、自然豊かな森から聞こえてくる鳥の鳴き声、公民館から聞こえてくる島唄と三味線の音、猛威を振るう暴風雨、島で生きていくうえで大切なことは人間がコントロールできない自然の豊かさと恐ろしさをあるがままに受け入れることだと気づかされます。
そんな人が人らしく生活できる現代の理想郷である奄美大島の自然・伝統・文化は守られるべきものであり、後世に引き継いでいく必要があります。
Mellow Amamiでは、健康の切り口から伝統産業に従事する職人さんとそれに関わる組織、行政機関と共に職業病に立ち向かうことで、伝統・文化を守りながら健康で働き続けられ、次世代を魅了し、町が元気になる未来を創っていきます。
大島紬という円熟(Mellow)した伝統を持続可能にする。それがMellow Amamiの想いです。